「借金をゼロにして人生をやり直したい」
そう考えて自己破産を検討している方にとって、自己破産はまさに「人生のリセットボタン」と言える制度です。
しかし、このボタンには押し方があります。間違った行動をとってしまうと、ボタン自体が壊れて借金がそのまま残るどころか、最悪の場合は刑事罰に問われる可能性すらあるのです。
今回は、月間10,000件以上のご相談を受ける司法書士法人杉山事務所の代表、杉山一穂が、自己破産前に絶対に避けるべき「7つのNG行動」を実例とともに解説します。
そもそも「自己破産」ってどんな制度?
簡単にいうと、裁判所に「どうしても返せません!」と認めてもらい、借金をゼロ(免除)にしてもらう手続きです。


- メリット: 督促がピタッと止まり、借金がなくなります。
- 注意点: 財産(家や高い車など)は手放す必要があります。
- 費用目安: 裁判所費用(2〜3万円)+ 専門家費用(30〜50万円ほど)。
- 期間: およそ6ヶ月〜9ヶ月で終わるのが一般的。
申し立て前にやってはいけない!7つのNG行動
「良かれと思って」やったことが、実はルール違反になるケースが多いんです。
1. 資産隠し(財産を隠す)

「思い出の品だから」「家族に車を残したいから」と、名義を変えたり隠したりするのは絶対にNGです。
- 具体例: 預金を家族の口座に移す、車を親の名義に書き換える。
- リスク:「詐欺破産罪」に該当し、最長7年以下の懲役という重い刑罰が科される可能性があります。また、免責が取り消され、借金が復活することもあります。
2. 特定の人への優先返済(偏頗返済)

「お世話になった親戚や友達にだけは返しておきたい」……その気持ちは分かりますが、グッとこらえてください。
- 理由: 特定の債権者だけを優遇する行為は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と呼ばれ、裁判所から返済を取り消される可能性があります。
- 対策: 専門家に依頼した後は、全ての返済を一旦止め、全ての債権者を平等に扱う必要があります。生活費は現金で管理し、使途を明確にしておきましょう。
3. クレジットカードの「駆け込み利用」

「もうすぐカードが止まるから」と、最後にドカンと買い物をする行為です。
- リスク: 「返す気がないのに使った」とみなされ、裁判所の印象が最悪になります。手続き直前の高額な買い物は、後で厳しく追及されます。
- 対策: 依頼した時点でカードの利用は即停止してください。ネット決済アプリの削除もおすすめします。
4. 転売目的での買い物

カードでブランド品や最新家電を買い、すぐに売って現金を作る行為です。
- 注意点: これは「詐欺的な取引」と判断され、自己破産自体ができなくなる可能性が非常に高い、最も危険な行為の一つです。どうしても必要な購入がある場合は、必ず領収書を保管し、理由を説明できるように準備しておくことが重要です。

5. ローンや後払いを利用した「現金化」

ネットで見かける「ギフト券買取」や「後払い現金化」など、危ない資金調達は避けましょう。
- リスク: 法律違反のケースが多く、警察沙汰(刑事事件)に発展する恐れがあります。
- 対策: 生活費に困った場合は、自治体の「生活福祉資金」など、公的な支援制度を利用しましょう。
6. ギャンブル・投資を続ける

「最後の一発逆転で返せれば……」と、競馬やパチンコ、仮想通貨などに手を出すのは逆効果です。
- 理由: 破産手続きにおいて「浪費」とみなされ、免責の判断が非常に厳しくなります。
- 対策: 証券口座などはログアウトして凍結し、「完全に断つ意思」を裁判所に示す必要があります。


7. 無断転居・連絡を絶つこと

引っ越したのに教えない、電話に出ない……これは手続きが「強制終了」になる原因です。
- 実例: 裁判所からの手紙が届かず、審理に出席できなかったために、自己破産が認められなかった事例もあります。住所が変わる時は、必ず事前に連絡しましょう。

まとめ:正しい知識で「最高の再出発」を
今回ご紹介したポイントを守るだけで、自己破産のトラブルの多くは防げます。
- 資産隠しをしない
- 特定の相手だけに返さない
- カードを使い込まない
- 転売目的で購入しない
- 不法な現金化をしない
- ギャンブル・投資をやめる
- 連絡を絶やさない
もし「あ、既にやってしまったかも…」という項目があっても、隠さずに今すぐ専門家へ正直に話してください。早めに対処すれば、軌道修正は可能です。
自己破産は、ルールを守れば新しい人生を踏み出すための強力な味方になります。不安なことがあれば、一人で悩まずにぜひご相談ください。

