【警告】任意整理の失敗「余裕ない」危険

「毎月の返済が苦しい…でも、自己破産はしたくない…」

そんな悩みを抱える方にとって、「任意整理」は借金問題を解決するための有効な選択肢の一つです。裁判所を通さず、専門家が債権者と交渉することで、将来の利息をカットし、無理のない返済計画を立て直すことができます。

しかし、その手軽さゆえに、安易に手続きを進めてしまうと、「こんなはずじゃなかった…」と深刻な後悔につながるケースが後を絶ちません。

この記事では、数多くの借金問題に向き合ってきた司法書士が、任意整理で失敗する典型的なパターンと、手続きを始める前に必ず知っておくべき注意点を徹底解説します。

そもそも「任意整理」とは?

任意整理とは、借金で困った方を救済するための「債務整理」という手続きの一つです。

よく混同される自己破産とは異なり、借金の元本は一切減りません。
任意整理は、あくまで債務者(お金を借りた側)が債権者(お金を貸した側)と交渉し、

  • 将来発生する利息をカットしてもらう
  • 返済期間を3年〜5年程度に見直してもらう

ことで、月々の返済負担を軽減し、借金の完済を目指す手続きです。一瞬で借金がなくなるわけではありませんが、確実に返済のゴールが見えるようになる、非常に優れた方法です。

【要注意】任意整理が失敗に終わる3つの典型パターン

任意整理における「失敗」とは、「せっかく和解したのに、返済を続けられなくなり、結局自己破産など他の手続きを選ぶしかなくなること」を指します。その原因は、主に次の3つのパターンに集約されます。

パターン①:最初から返済計画に無理がある

「家や車は手放したくない」「自己破産だけは避けたい」という思いから、無理をしてでも任意整理を選ぼうとする方は少なくありません。「何とかしたい」という気持ちだけで無理な返済計画を立ててしまうと、高確率で破綻します。

【POINT!】

専門家に相談する際は、見栄を張らず、家計の状況を正直に伝えることが成功への第一歩です。将来の収入減少や予期せぬ出費も考慮し、少し余裕を持たせた「実現可能な返済額」を一緒に探っていくことが重要です。

パターン②:途中で収入が減少してしまう

任意整理の返済は、通常3年〜5年という長期間にわたります。その間に、会社の業績悪化や転職、病気などで収入が減ってしまうことは十分に考えられます。

司法書士や弁護士は、あなたが最初に伝えた収入状況を元に和解交渉を進めています。返済が難しくなったら、一刻も早く依頼した専門家に相談してください。放置が一番危険です。

パターン③:予期せぬ出費で返済が滞る

返済期間中には、家族の入院や冠婚葬祭など、まとまった出費が突然必要になることもあります。

ここで注意したいのが「期限の利益の喪失」という契約条項です。これは、「支払いを一定期間(多くの場合は2回分以上)怠った場合、残りの借金を一括で返済しなければならない」というものです。
急な出費が原因で返済が2回滞っただけで、一括請求を受けてしまい、任意整理が失敗に終わるリスクがあるのです。

月々の返済が楽になったからと油断せず、常に不測の事態に備えておく心構えが必要です。

そもそも任意整理が不向き?メリットがない3つのケース

任意整理は優れた手続きですが、誰にでも最適なわけではありません。中には、任意整理をしてもほとんどメリットがない、あるいは不向きなケースも存在します。

ケース①:カットできる利息より、専門家への費用が高い

借金の額が少なかったり、もともとの金利が低い場合、任意整理のメリットである「利息カット額」よりも、司法書士や弁護士に支払う費用の方が高くなってしまうことがあります。

【具体例】
利息カットで浮くお金が13万円なのに、専門家への依頼費用が15万円かかったら…?
結果的に2万円のマイナスになってしまいます。

依頼する前に、費用対効果をしっかり確認しましょう。

ケース②:安定した収入が見込めない

任意整理は、あくまで継続的な返済を前提とした手続きです。安定した収入がなく、返済計画が立てられない状態では、そもそも任意整理をしても意味がありません。

病気などで働くことが困難な場合は、借金がゼロになる自己破産や、生活保護といった他の公的制度の利用を検討する方が賢明です。

ケース③:税金など、対象外の債務が多い

任意整理は、すべての借金を整理できるわけではありません。以下の債務は対象外となります。

・税金(所得税、住民税、固定資産税など)
・国民健康保険料 後期高齢者医療保険料
・年金保険料
・上下水道料金、電気・ガス料金などの光熱費
・養育費
・損害賠償金

もし借金の大部分がこれらの対象外債務である場合、任意整理を行っても根本的な解決には至らないのです。

【POINT!】

任意整理を検討する前に、ご自身の借金の種類をしっかりと把握し、任意整理の対象となる借金がどれくらいあるかを確認しておきましょう。

まとめ:後悔しない債務整理のために

今回は、任意整理で失敗しないための注意点について詳しく解説しました。

  • POINT1 任意整理の失敗とは、返済計画が破綻し、自己破産などに移行せざるを得ない状況のこと。
  • POINT2 失敗の主な原因は「無理な返済計画」「収入の減少」「予期せぬ出費」の3つ。
  • POINT3 借金の状況によっては、任意整理が最適な選択肢ではない場合もある。

借金問題の解決で最も大切なのは、ご自身の状況を正確に把握し、最適な手続きを選ぶことです。しかし、それを一人で判断するのは非常に困難です。

司法書士法人杉山事務所では、借金に関するご相談を無料で承っております。あなたの状況を丁寧にお伺いし、最善の解決策をご提案します。どうぞ一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。