マイナンバーで借金が会社にばれる!?
債務整理についてのご相談を受けるとき、‘マイナンバー’と‘借金’についてお問い合せをいただくことがあります。
その中でも、「勤務先にマイナンバーを提出しなければいけない、また、既に提出しているけど、借金のことが会社にばれるのですか?」という質問が一番多いように感じます。会社は提出された‘マイナンバー’を何に使うのでしょうか?
〈マイナンバーって何?〉
マイナンバーとは、日本に住んでいる(住民票がある)方に与えられた12桁の番号です。原則として生涯同じ番号となり、日本に住民票がある方ならば外国人もマイナンバーが付与されます。
〈何のための番号なの?〉
マイナンバーは、社会保障、税、災害対策の三分野において個人の情報管理を簡便にし、事務の効率化を図るためのものです。これまでは、住民票コード、基礎年金番号、健康保険被保険者番号などそれぞれの機関が様々な番号で個人情報を管理していたため、各行政機関をまたいだ情報のやりとりでは、個人の特定に時間と労力を費やしていました。マイナンバー制度により、これらを一元管理できれば行政の効率化、国民の利便性の向上、さらには公平・公正な社会が実現できるとされています。
〈マイナンバーのメリット〉
マイナンバーによるメリットは以下のようなものです。
1.行政事務を効率化
2.社会保障や税に関する行政の手続において添付書類が削減され、また、各種行政手続がオンラインによってできるようになることで国民の利便性が向上する
3.所得を正確に把握することによって、より良い社会保障制度を設計し、公平・公正な社会を実現する
〈マイナンバーは会社に提出する必要があるの?〉
みなさんも勤務先の会社からマイナンバーを提出するように言われたことがあると思います。そもそも会社に対してマイナンバーを提出しなければならないのでしょうか?
勤務先は従業員の源泉徴収票の作成や年末調整を行なう必要があります。また、健康保険や年金などの手続きもとらなければなりません。これらはまさにマイナンバーの目的である社会保障と税に関する手続きですので従業員はマイナンバーを提出しなくてはならないのです。もちろん、マイナンバーは目的以外に利用できないことになっていますので、会社が目的外で利用することはないと言えます。
〈マイナンバーと借金〉
マイナンバー制度では、「税」つまり収入については管理されることになっていますが、支出や借金についてはその対象になっていません。つまり借金はマイナンバーでは管理されていないのです。ですから会社が従業員の借金についてマイナンバーから情報を得ることはできないのです。
〈借金の情報はどこで管理されるの?〉
では、‘借金をしている’‘債務整理をしている’情報はどこで管理されているのでしょう。
貸金業者や信販会社などは、顧客の取引状況を信用情報機関に登録します。信用情報とは「クレジットやローンに関する契約内容や客観的取引事実」を表す情報で、以下のようなものが登録されています。
■ローン申し込み記録
■クレジットカード作成記録
■契約内容
■現在残高
■返済情報
■延滞情報(3ヶ月以上等の長期延滞)など
スマートフォンを分割払いで購入した場合にも、その情報が登録されることになっています。信用情報機関には日本信用情報機構(JICC)、シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センターなどがあります。
〈借金が会社にばれることはあるの?〉
もちろん信用情報は厳重に管理されており、本人以外には開示されないため従業員の信用情報を会社が見ることなどはできません。したがって借金に関する情報が会社にばれることはありません。借金が会社にばれるとしたら、会社に督促の電話が入ったとか、訴状が会社に届いたとか、給料を差押さえられたとか貸金業者の行動によるものが中心になるでしょう。
こうして整理してみると、マイナンバーによって管理されている情報と借金や債務整理についての信用情報は目的や内容が違うことが分かります。従業員の借金がマイナンバーを通して会社にばれるということがそもそもあり得ないことがお分かりいただけたのではないでしょうか?
当然ながら、会社にばれることは無いからといって無計画に借金をしていいわけではありません。借金が膨らみ返済が滞れば、会社に督促をされたり、訴訟を提起されたりして会社にばれる危険性が高まります。給料の差押さえまでされてしまうと会社にばれることは回避できないでしょう。
債務整理を検討しているけれど、会社や家族に借金がばれることを心配している方。一度、杉山事務所にご相談ください。
司法書士 C