債務整理のメリットとデメリット
債務整理のメリットとデメリットを代表的な債務整理手続である任意整理・個人再生・自己破産に分けてそれぞれ簡単にご説明します。
債務整理のメリットを教えましょう
(1)債務整理全般のメリット
まずは債務整理手続共通のメリットをご説明します。
・認定司法書士が代理人となって手続を進めることで、債権者からの直接の督促が止まります。
・利息制限法を越える高い利息で借りていた場合は、債権額が減額され、さらに過払金が戻ってくることがあります。
・支払金額・支払回数が決まる、もしくは支払いが免除されるので、生活設計が立てられ、将来の不安が軽減されます。
(2)任意整理のメリット
つづいて、債務整理手続のなかで一番簡便な方法である任意整理のメリットです。
・自己破産・個人再生などの法的手続と違って、裁判所が関与せず認定司法書士が債権者と示談交渉を行い、和解契約を結ぶ手続ですので、裁判所を介した手続に必要な多数の書類を収集する手間がなく、官報公告されるということもありません。
・家族や会社に内緒で進められる可能性が高い手続です。
・原則としてに今後の利息(将来利息)は免除してもらうので、完済の見通しが立ち、将来の不安が軽減されます。
・任意整理手続をする債権者を選べるので、住宅ローンや車のローン、保証人がいるローンなど一部の債権者は任意整理しないで通常通り支払っていくこともできます。
・手続に入れなかったクレジットカードを利用し続けることができる場合があります。
(3)個人再生のメリット
つづいて、債務整理手続のなかでも裁判所に申立てをする必要のある手続、個人再生のメリットです。
・任意整理に比べ、借金の大幅な減額ができます。
(借金額の8割を減額〈最低支払額は100万円〉)
・財産を残すことができます。
・住宅ローン特則を使うことで、住宅を手放すことなく債務整理ができます。
・個人再生は自己破産とは異なり借金の原因が問われないため、借金の原因がギャンブルや浪費であっても手続に影響がありません。
(4)自己破産のメリット
つづいて、債務整理手続のうち、裁判所に申立てる手続の代表である自己破産のメリットです。
・免責手続によりすべての債務を支払わなくて良くなります。
・自己破産手続の開始決定後は債権者が差し押さえできなくなります。
・一定の財産は残すことができます。
債務整理のデメリットを教えましょう
(1)債務整理全般のデメリット
メリットと同様、まずは債務整理手続共通のデメリットをご説明します。
・どの手続をおこなっても信用情報登録機関に「事故情報」が登録されますので、あらたにお金を借りたり、クレジット契約を組んだりしづらくなります。ただし、信用情報機関に事故情報が登録されたとしても、絶対にお金を借りたりすることができないということではありません。あくまで各業者の判断になりますので、事故情報が登録されたとしても借りられることもあるのです。政府系金融機関においては、信用情報よも事業計画や現況の収支状況で判断することも多いので、手続後融資を受けられたという方もいるようです。また、借入れが難しくなるということは、あらたな借金に頼ることなく生活をすることですので、生活再建を目指すという意味ではデメリットというよりメリットと考えられるでしょう。
(2) 任意整理のデメリット
つづいて、任意整理のデメリットです。
・借金の元本は返済することになるので、整理後の支払総額は自己破産や個人再生と比べた場合には高くなります。
・和解交渉には法的な拘束力はないので、稀に任意整理に応じない債権者があります。
(3)個人再生のデメリット
つづいて、個人再生のデメリットです。
・一部の債権者のみを整理することはできません。
・官報に公告されます。
官報とは国が発行する新聞のようなものです。新聞といっても一般の方が見るようなものではありませんので、官報に申立人の名前と住所が掲載されたからといって周囲の人に知られるという心配は無いでしょう。ただ、闇金業者などが官報をチェックしていて、融資を勧誘するダイレクトメール等を送ってくることがあります。
・個人再生を利用するには一定の要件(継続・反復して収入があること、住宅ローンを除いた借金の総額が5000万円以下であることなど。)があります。
・ローン中の車などは手放さなければなりません。
・再生計画案どおりの返済ができなくなった場合に、再生計画が取消される可能性があります。ただし、4分の3以上の弁済が終了しているのであれば、ハードシップ免責を利用することで、残りの債務が免責される可能性もあります。
(4) 自己破産のデメリット
つづいて、自己破産のデメリットです。
・一部の債権者のみを整理することはできません。
・官報に公告されます。
・住宅や車など資産価値の高い財産は換価処分されます。
・免責不許可事由に該当する場合、手続きに時間がかかったり破産管財人が選任されたりする場合があります。
・資格制限があります。
資格制限とは自己破産の申し立てから免責が確定するまで就けない職業等があるということです。各種士業、保険外交員や警備員など信用が必要な職業や他人のお金を扱う仕事などには一定の期間就くことができません。