利息制限法改正後の任意整理

任意整理とは、今現在抱えている借金を減額することのできる債務整理の方法ですが、利息制限法が改正されグレーゾーン金利がなくなった昨今、任意整理とはどんなことをする手続なのでしょうか。
今回は任意整理することで得られるメリットについてお話しさせていただきます。
現在の利息で任意整理を行うメリットとは
2010年6月18日より改正貸金業法が施行され、グレーゾーン金利が撤廃されました。
この法改正後にはじめて借入した場合は、払い過ぎ利息が発生しないため、残債務元金が減ることはありません。
そうすると、任意整理では借金の何を減額するのでしょう?メリットがないのでしょうか?いえ、任意整理することで返済が楽になるのです。
将来利息のカット
将来利息というのは、今後の返済にかかってくる利息のことで、借入したお金を返済する際、元金と合わせて支払っていく利息のことを言います。
司法書士へ任意整理を依頼した場合、将来利息をカットしてもらえるように交渉します。
将来利息をカット(=将来利息0円)をすることで、返済内容がどのように変わってくるのかご説明いたします。
毎月返済しても、一向に減っている気がしないといったご経験をされたことがあると思います。これは、毎月支払っているお金のうち利息に充当されている部分が存在し、元金があまり減っていかないことが一番の要因です。
返済したお金は、
利息>元金
といった順番で充当されていきます。
11社から年利18%で50万借入し、毎月1万円の支払いをしている場合
簡単な例を挙げてみます。
【1回目の返済】
元金500,000円×18%=90,000円
90,000円÷12ヶ月=7,500円(初回利息)
返済額 利息充当額 元金充当額 残元金
10,000円 7,500円 2,500円 497,500円
【2回目の返済】
元金497,500円×18%=89,550円
89,550円÷12ヶ月=7,462円(2回目利息)
返済額 利息充当額 元金充当額 残元金
10,000円 7,462円 2,538円 494,962円
上記を見ていただいたらわかる通り、2ヶ月かけて2万円の返済をしたとしても「5,038円」しか元金が減っていません。
利息制限法を遵守した利息でも半分以上が利息に充当されてしまいます。
このまま毎月10,000円の支払のみを続けていった場合、完済までおよそ8年間かかり、総額約93万円の支払をすることになるのです。
もし、将来利息カットの交渉が上手く進んだ場合、「18%」の利息が「0%」になります。
そうすれば、10,000円返済すると、10,000円がそのまま元金に充当されるので50回かけて50万円を支払えば完済ということになります。つまり支払い総額で43万円ほどカットできたことになります。
カットできた将来利息の総額をみれば、専門家に依頼する費用が高すぎないことがご理解いただけると思います。
借金の返済が苦しくなり、任意整理をお考えになるのであれば、ただ支払い続けるのではなく、上手に完済できる方法を一緒に考えましょう。