所有権保存登記ってなに?

あなたが土地や家を所有している、あるいは分譲マンションの1室を所有している場合、購入した際に取得した「権利証」という書類を保存しているはずです。これは再発行されることのない大事な書類です。正確には「登記済証」といい、法務局が登記を完了させたことを証するものです。2005年以降に購入した物件については「登記識別情報通知書」という名称の書類に順次変更されています。むろん、古い「登記済証」でも、その物件を所有している限りは、現在でも有効な書類となります。
不動産を売ったり贈与したりする時には必要です
不動産(土地・建物)を売ったり贈与したりする時には、不動産の所有権が新たな所有者へ移ります。これを登記法上「所有権移転」と言いますが、売主または贈与者が自己の所持する登記済証または登記識別情報を登記申請書及びその添付書類とともに法務局に提出する必要があります。登記が完了すれば、新しい所有者に新たな登記識別情報通知書を交付します。その不動産が誰の所有なのかを明らかにすることが登記の役割なのです。
未登記のままの土地、建物は結構あるのです
日本は不動産の私有を認める国です。しかし、全国の土地、建物のすべてが登記されているわけではありません。
土地の場合は「地図混乱地域」といいますが、2002年に明らかにされたところでは、約750地域、約820平方キロも未登記の土地があります。これは日本全体の0.2%でしかありませんが、東京・六本木ヒルズの市街地再開発では、法務局に備え付けられた公図等と現状が一致していなかったせいで、土地の境界や面積の画定に時間がかかり、地権者約400人、約600筆の土地買収だけで約4年もかかりました。
家屋を新築・増築した時には、不動産登記法上「建物表題登記」を行わなければなりません。この建物表題登記がなされていない物件を「未登記建物」といいます。登記申請があれば法務局は自治体にこれを通知し、自治体はその建物に課税して固定資産税を徴収します。そうであれば建築主が意図的に登記しないことによって固定資産税の徴収を免れることができるように思えますが、自治体は管轄地域を回って台帳との相違をチェックしていますので、未登記であってもきちんと課税されていることが多いのです。
所有権保存登記とは
新築・増築をした際に、建物表題登記をすることはすでに述べたとおりですが、建物表題登記とは、その建物はどのような構造・広さなのかを示す登記で、誰の所有であるかどうかを示す登記ではありません(※)。誰のものかを示す登記を権利登記と言いますが、表題部のみの登記簿に、はじめて所有者を記載する登記のことを「所有権保存登記」といいます。ローンを利用して建築する場合は、抵当権という権利登記の設定をする関係上未登記建物のままになるということはありません。
※建物表題登記において「表題部所有者」として所有者を記録しますが、これには対抗力(自分のものであると他人に主張すること)がありません。
こうして気づく、未登記建物
建物が未登記になっていることに気づくきっかけは、
相続登記をしようとしたら、司法書士から「建物は未登記です」と言われる
建物を売ろうとしたら「一部の建物が未登記です」と仲介業者から言われる
物置や車庫を増築しようとしたら、実は母屋そのものが未登記だと指摘される
などのケースです。
「固定資産税課税通知書」の家屋番号欄に数字が記載されていない場合、未登記建物の可能性が高いといえるでしょう。
司法書士に相談を
未登記家屋に遭遇したとき、どのように対処すべきか司法書士や土地家屋調査士に相談しましょう。
調べてみても専門用語ばかりでよくわからないというお声も耳にします。
司法書士法人杉山事務所では、随時無料で電話相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。